特に、年間を通して気候が変わらず、季節が一つしかない国では当然のことでしょう。一方、四季とまではいかなくても複数の季節がある国では、全ての季節が歓迎されているわけではありません。暑すぎる、寒すぎる、乾燥しすぎている、雨が多すぎるなどの理由で嫌われる季節もあるのです。
日本ほど四季の移り変わりが尊ばれ、祝福され、喜び心待ちにされる国はないと思います。この国では老若男女がコンピュータ、テレビの前を離れ、自宅や職場から花見や紅葉を観に出かけて、自然の色が織りなす見事な風景を写真に収めようとします。日本の桜の儚い美しさは世界的に知られており、遠方から多くの観光客を惹きつけています。ですが日本では同様に特別な行事である「紅葉狩り」は、桜の花見ほどは知られていません。
忙しい秋の日を縫って、職場とは離れた場所で自然と触れ合うという素晴らしい一日を過ごしました。
11月のある晴れた日、大使館の全職員が、日本人もノルウェー人も共に早朝から大使館の前に集合し、秋の紅葉を観に出かけたのです。リュックを背に、童心に戻って学校の遠足さながらに出発しました。ノルウェー国旗を目印に掲げたチームリーダーの引率のもと、地下鉄広尾駅から出発し、和気藹々とした雰囲気の中、PASMOカードを手に電車とバスを乗り継ぎ、東京の西端に位置する多摩地区の檜原村へと向かいました。
3千年以上も前から人が暮らしたという、都心から離れたこの村は、面積の90%を木に覆われています。この村で私たちは紅葉狩りを楽しみました。秋川を眼下に足湯で癒され、それから山歩きをして、冬には凍結するという見事な払沢の滝を見学しました。また、村の売店や郷土資料館を見学し、山奥に佇むそば屋では、地元の麺、コンニャク、豆腐、ワサビやお酒を堪能することができました。
こうして自然と触れ合う一日を過ごし、翌日に仕事に戻ると、私のデスクは、前々日に退席したときと同じように書類で溢れていました。デスクの書類は、自然の季節の移ろいとは無縁と見え、木々が紅葉し優美に落葉して土にかえるのとは異なり、人の手が入るのを待っているのでした。
アルネ・ウォルター