ノルウェーの国会常任委員会の議員団およびノルウェー防衛大学一行の来日、ノルウェーししゃも(サーモンを「海の王様」に例えるなら、ししゃもは「海のかわいいプリンセス」でしょう)の日本への輸入開始から40周年の記念行事、UNHCR難民映画祭でのノルウェー映画(ノルウェーの国民的英雄であり国際人でもあるナンセンの生涯を描いた映画)上映、ノルウェー屈指のピアニスト アンスネス来日コンサート、家庭内暴力(DV)に関するシンポジウムなど、様々な行事がわずか5週間の期間に次々と行なわれました。なかには東日本大震災からの復興支援を目的とする行事もありました。
ノルウェー国会の保健・ヘルスケアサービス常任委員会のメンバーが、9月19日~23日に来日しました。この訪問は、春に予定されながら震災のために延期されていたものです。来日の目的は日本がハイテク技術を駆使していかに高齢化社会に対処しているかを学ぶことにあり、日本の国会議員や政府関係者と会い、関連諸機関を訪問しました。この度の訪問を実現することで、将来に向けて両国の結束を表明することも来日の目的となりました。
ノルウェー防衛大学の一行は、10月10日~13日に東京を訪問しました。日本のほかインドや韓国を訪問し、日本の展望やアジアの安全保障政策について学ぶことを目的としたスタディツアーです。3月11日の大震災を受け、国家的災害に際していかなる軍民協力を行なうことが可能か、また行なうべきかを日本から学ぶことも来日の目的に加えられました。
ノルウェー 漁業・沿岸問題省 のヨーン・クローグ事務次官は9月16日から19日まで日本を訪問し、大使館で開催された漁業セミナーで基調講演を行いました。このセミナーの一環として、ノルウェー産ししゃもの日本への輸入開始40周年を記念する行事も行なわれました。クローグ事務次官は宮城県を訪問し、石巻で市長や漁業協同組合の関係者と会いました。ストルテンベルグ首相が当時の菅首相に宛てた書簡にある通り、「チーム・ノルウェー」は日本の復興支援において、漁業、海産物の安全性、沿岸地域の振興を特に重視しています。
第6回 UNHCR難民映画祭の一環として、10月6日にノルウェー王国大使館で「フリチョフ・ナンセンの一生」(Only one life)が上映されました。この映画は、ノルウェーの国民的英雄フリチョフ・ナンセンの科学者、極地域の探検家、外交官、国際人、ノーベル平和賞受賞者、国際連盟の初代難民高等弁務官としての多岐にわたる活躍を描いています。ナンセンの生誕150周年を迎えるに当り、第一次世界大戦後にナンセンがいかに多くの難民を支援したかを再確認する機会となりました。戦争だけでなく、東日本大震災などの自然災害によっても多くの難民が生み出されているのです。
「いま音楽にできること」と題し、ノルウェー屈指のピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスと日本の作家 佐伯一麦氏による対談イベントが、9月21日にノルウェー王国大使館で行われました。これまでも定期的に来日しているアンスネス氏は、このイベントを通して東日本大震災で犠牲となった方々に対する思いを伝えました。音楽は様々な人々に多くの癒しを与えることができるのです。この催しの対談とQ&Aセッションを通し、東日本大震災やノルウェーでのテロ事件などの惨事を経験した人々の悲しみを和らげ、希望を与えるために音楽や芸術が果たす役割について考えました。
音楽を通した支援として、ノルウェーのデュオ(サックス奏者のグロンセスとピアニストのスキナー)を招き、震災後東北地方から避難し東京で暮す被災者のためのジャズコンサートが開催されました。
最後に、10月14日にノルウェー大使館が子どもの本の出版社「ひさかたチャイルド」と協力して行った家庭内暴力に関するシンポジウムについてご紹介したいと思います。
ノルウェーから特別講師として招かれた Øivind Ashjem氏が、「アングリー・マン」に関する講演を行いました。「アングリー・マン」は、子どもの目線から家庭内暴力を描いた本で、これを原作とする同名のアニメーション映画が制作され、昨年広島で行われた広島国際アニメーションフェスティバルでグランプリに輝いています。 Øivind Ashjem氏の公演中に、小規模ながら地震が起きました。一瞬のことではありましたが、会場内の私たち緊張しました。この地震は、子どもたちは家庭内暴力だけでなく自然の暴力による被害も受けていることを思い出させました。東日本大震災は子供たちから親を、そして親から子供たちを奪ったのです。この3月11日の大震災で孤児となった子供たちの苦境や心理社会的ニーズを、私たちは常に心に留めておかねばなりません。
アルネ・ウォルター