村上春樹の書籍が並ぶ書店のウィンドー  2010年夏・オスロ. 
写真: Kim Robin Holm.村上春樹の書籍が並ぶ書店のウィンドー  2010年夏・オスロ. 写真: Kim Robin Holm

2010.9. 文化交流("A Cultural Palette")

19/08/2010 // この文章を書いている今、私は東京を離れオスロで休暇を過ごしています。それにもかかわらず、日本にいるかのような気分になっています。というのも、村上春樹氏もまたオスロに滞在中で、人々は「ノルウェイの森」の著者であり文学界の国際的スターである日本人作家の訪問を歓迎しているからです。

 書店には村上氏の著書が平積みにされ、8月20~23日には「村上春樹フェスティバル」が企画されています。同氏による会見のチケット720枚は、熱狂的なノルウェー人ファンが買い求めわずか12分で売り切れとなり、その後ファンは同氏の著作本にサインをもらおうと長い列ができました。今頃ファンの本棚にはサイン本が誇らしく飾られていることでしょう。

ノルウェーでは村上作品の人気が高く、現代の日本社会や文化に対するノルウェー人の関心を幅広く掻き立てています。

国家間の関係を強化し、国際的理解を促進するには文化交流や人的交流が不可欠です。文化交流は国家間のかけ橋となり、人々の心を豊かにします。こうした交流によって国際社会が共有している普遍的な考え方や思いについての認識も高まります。そのための表現媒体は、文学、演劇、音楽や舞踊、美術など様々です。

日本の人々がノルウェーの伝統文化と現代文化の両方に関心を抱き、認めてくださっていることを嬉しく思います。文化活動や広報は、東京のノルウェー大使館の業務のなかでも重要な役割を果たしており、その他の大使館活動にも相乗効果をもたらしています。

ノルウェーが誇る劇作家ヘンリック・イプセンは、日本の観客を今も魅了し続けており、その作品のひとつである「ヘッダ・ガーブレル」が9月に東京で上演されることになっています。さらに11月には「国際イプセン演劇祭」が同じく東京で開催されます。これは日本初のイプセン演劇祭であり、4カ国の劇団が参加して行われます。ノルウェーの国立劇場(ナショナル・シアター)に加え、ドイツ、ベトナム、日本の劇団が「人民の敵」、「人形の家」、「野鴨」、「復活の日」をそれぞれ現代風に解釈して上演します。イプセン作品のノルウェー最高峰の劇団である国立劇場による日本でのイプセン劇の上演は、1971年以来初となります。

イプセン作品には、現代社会でも通用する普遍的な価値観が示されています。今から1世紀以上も前にこの劇作家が選んだテーマ—「表現の自由」、「環境保護」、「男女平等」、「人間の尊厳」、「腐敗」、「権力の乱用」—は、今の社会においても上位を占める重要なテーマなのです。既に国際イプセン演劇祭実行委員会は、次のイプセン演劇祭を3年後に開催することを決めています。

また画家エドヴァルド・ムンクも、日本でよく知られ、高く評価されています。毎年、東京の出光美術館はオスロのムンク美術館から3枚のムンク作品が送られ展示しています。両美術館の協力関係は、1993年に「ムンク展 ザ・フリーズ・オブ・ライフ-愛と死」が出光美術館で開催されたことを契機にはじまり、今夏、両美術館の取り決めはさらに5年間延長されました。

またノルウェー・日本現代テキスタイル展「CULTEX」が、本年12月に日本にやって来ます。両国の6人の主要なテキスタイル作家による展覧会です。これらの作家は12カ月にわたって国境を超えて協同し、それぞれのスタジオでアイデア、技術、文化の交流を3回行ってきました。その際の個別・共同作業の経験を反映する新たな作品が、成果として展示されます。

そのほかにも日本とノルウェーの間には様々な文化交流の催しが目白押しです。たとえば音楽の分野でもノルウェーの著名な→優れたミュージシャンたちが「東京ジャズフェスティバル」や日本で初開催の「フォルケラーム・イン・ジャパン」に参加することになっています。

この場を借りて、産休中の文化担当官クリスティン・ヨハンセンに代わり4月から責任者を務めてくれたヴェンケ・プレベンセン参事官に感謝の意を表したいと思います。9月にはヨハンセン参事官が復帰します。
引き続きノルウェーと日本の間で興味深い文化行事がますます盛んに行われ、両国の関係がより促進されるのを楽しみにしています。

アルネ・ウォルター


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