このように人気が高まったのは、才能ある新しい世代の力によるものです。さまざまな分野において革新的な力が働き、従来のノルウェー・デザインに新たな光を与え、その魅力に磨きをかけたのです。ノルウェー・デザインの需要は国内企業のみならず、世界市場でも急速に高まりました。国内外のマスコミもその動向に注目しています。
そもそも「ノルウェー・デザイン」というものはノルウェー以外では事実上存在しない概念でした。スカンジナビア・デザインの地位が翳りゆく中、デンマーク、フィンランド、スウェーデンはそれぞれデザイン立国としての名を維持してきた一方で、ノルウェー・デザインは地味で目立たない存在に甘んじてきました。
ノルウェーは昔から原料輸出国として知られ、石油産業の成長によってそのイメージは一層強められました。長い間、ノルウェーには製品開発の過程でデザイナーを活用する慣習はほとんどありませんでしたが、この状況は変わりつつあります。製品開発にデザイナーの専門技術を利用するノルウェー企業の数は著しく増えています。
石油業界で、革新的な技術開発者がデザイナーと協調しながら仕事をすることに価値を認める環境が育ちました。また、専門性を高めようとしていた商業部門では、グラフィックデザインの製品の需要が増えています。1993年には、デザイン関連への意識や理解の促進を目的として、Norsk From - The Center for Norwegian Design, Architecture and Built Environmentが公的な組織として設立されました。さらに1994年のリレハンメル冬季オリンピックは、ノルウェー・デザインを世界へ知らしめ、人々の関心を広く集めるのに一役買いました。
それ以来、ノルウェー・デザインはますますマスコミの注目を集め、事実上無名だったその概念は次第に人々の生活にも浸透し、ノルウェーの企業に大きな影響を与えています。その証拠に、The Norwegian Design Council(1963年設立)主催の優秀デザイン賞 The Norwegian Award for Design Excellenceへの応募数は増えているのです。
一方、ノルウェーでデザイナーの技能がもっとも活用されている産業の一つが家具業界です。ノルウェーの家具は、昔からユニークな製品の開発に定評があり、輸出市場においても安定したシェアを確保してきました。Balansや子供用椅子Tripp Trappなどの家具は国内外でベストセラーとなっています。
ノルウェー・デザインが今日勝ち得た地位は、明らかにノルウェー家具デザイナーたちの努力によるものです。2000年4月には、新しく設立されたデザイナー集団norway saysが、イタリアのミラノで毎年行なわれるヨーロッパ最先端の現代デザイン国際博覧会のひとつである、Salone Sateliteに招聘され、出展しました。
これまでもノルウェーのデザイナーはイタリアの展覧会から招待を受けていましたが、norway saysが口火を切り、より多くの一流デザイナーがノルウェーから参加するようになりました。ノルウェー・デザイン界には、今や才能と意欲にあふれたデザイナーたちが幅広い分野で活躍しており、世界のデザイン界を席巻しています。