手工芸

最終更新日: 20/08/2009 //

古代遺物の中には、当時の人々が日用品に美的価値を加えようとした努力のあとが数多く見られます。Osberg(オズベルグ)の遺物の中には職人並みの技能の織物や木彫がありますが、いずれも優れた技能であったことをよく示しています。ノルウェー中世教会の内装や調度品にも偉大な匠の技を見ることができます。代表的なものは説教壇の彫刻細工、銀や銅製の儀式用装具ですが、おそらく最も注目に値するのは、Baldishol(バルディショール)の装飾絨毯に代表される美しい教会用の織物です。当時の習慣として、いずれも制作者の名前は残されていません。

ローズ・ペインティングはノルウェー独特の装飾画法で、さまざまな形や大きさの薔薇が主な図案になっています。昔、農民の間で幅広く使われていたこのローズ・ペインティングは、今ではノルウェーの古典民俗芸術と考えられています。

16世紀になるとノルウェーの金細工師は作品に刻印を打つようになりました。その後、完成品には必ず匠の名前が示されるようになりました。

もう一つのすばらしい伝統工芸は、ルネッサンス時代に花開いた古代からの絵入りの織物工芸です。これはグドブランスダーレン(Gudbrandsdalen)地方で女性の仕事として昔から伝えられているものです。また17世紀初頭からは、芸術的価値の高い彫りこみ付きの釜戸のような鉄製器具も作られるようになり、これがノルウェー工芸の基礎となりました。

木彫りやローズ・ペインティングなどの伝統工芸は、農村部で19世紀半ばまで盛んに行なわれていました。1814年の国の独立によって、工芸の世界にも新たなチャンスが数多く生まれると考えられていましたが、その後の数十年間は貧困によって発展が阻まれてしまいます。19世紀後半まで、ノルウェー工芸は古代の伝統の影響が未だ色濃く残されていましたが、次第に新しい技術が取り入れられるようになってきました。例えば、1852年に設立されたハーデラン・グラスワークス(Hadeland Glassworks)は、外国からの高い技術を使ってそれまでより洗練されたガラス製品を作り始めました。エゲルスン・ファイアンス・インダストリー(Egersund Faiance Industry)は英国の石工技術を取り入れ、1887年にはポシュグルン磁器工場 Porsgrunn Porcelain Factoryが開かれました。

過去100年の間に手工芸の芸術的価値はますます認められるようになり、20世紀初めには、主要都市で大規模な国際展示会が数多く開催されるようになりました。この発展の中心となったのがノルウェー人の金細工師たちの新しい動きでした。彼らは仕事の請負よりも、デザインの工夫に重きを置くようになったのです。

ノルウェー工芸に再び関心が集まったアール・ヌーヴォーの時代には、「雄ガモ」や「竜」の頭など古代ヴァイキングのモチーフが復興し、それ以降、多くの手工芸に使われるようになりました。国際的な関心を幅広く集め、国の象徴ともいえる存在になっています。

1930年代に広まった機能主義的デザインはスカンジナビアでの工芸品の生産に大きな影響を与え、1950年代までには、柔らかく、温かみのある形を特徴とするスカンジナビア・デザインとして知られるようになりました。

1970年代には工芸産業に革命的変化がおきました。織物、ガラス細工、陶磁器などの工芸品はビジュアル・アートとして完全に認められるようになり、製品の実用面の価値はもはや重要とは考えられなくなったのです。1974年には、腕のいい職人は、Norske kunsthandverkere (Norwegian Craft Artists Association)を通じて所得が保障される国の制度(the State Guaranteed Income Scheme)への加入が検討されるまでになり、またノルウェーの芸術界により広く受け入れられるようになりました。さらに、1980年代には工業デザインの重要性が増し、公共の施設の装飾を請け負う職人の数が増加しました。そして、1994年のリレハンメル冬季オリンピックでは、工芸とデザインは芸術的表現の重要な部分を担ったのです。


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