有害化学物質
化学物質の消費量は過去50年間で急激に増加し、今ではあらゆる種類の製品や製造工程において欠かせないものになっています。化学物質は、製品の取引や風および海流の流れに乗り、遠く離れた場所まで運ばれています。この点でノルウェーは特に影響を受けやすい状況にあります。排出物は風や海流によって北へ運ばれるため、ノルウェーのように北に位置する地域は、北半球全体から出る有害化学物質の地理的「廃棄場」になっています。
有害化学物質についての国際的な規制は、いくつかの条約が発効したこともあり、近年著しく厳しさを増しています。ノルウェーは全地球的な規模で環境対策を実施するよう、積極的に取り組んでいます。これについては現在、国連環境計画(UNEP)の支援により、有害化学物質に関連する大規模な環境保全を目指す、地球規模の戦略が展開されています。
生物の多様性
1992年にリオデジャネイロで開催された持続可能な開発に関する世界会議をきっかけに、ノルウェーは国連の生物多様性保全条約(CBD)を発展・促進させることを重点課題としてきました。CBDなどに基づいて、世界の生態系を対象にした最大規模のアセスメントである「ミレニアム生態系アセスメント」が実施されました。この生態系アセスメントを受けて、ノルウェーは、国際的な環境協力と開発協力の政策づくりにおいて、北欧閣僚会議内で特別な責任を負うことになりました。同条約の目標と作業計画、および生物の安全についてのカルタヘナ議定書の規定を国内の活動に組み込んでいくことが非常に重要です。2002年、ヨハネスブルグで開催された持続可能な開発に関する世界首脳会議は、現在の生物多様性損失率を2010年までに大幅に削減するという目標を採択しましたが、この目標は関連する社会のあらゆる分野の協力により達成されるでしょう。
環境分野におけるEUとの協力
過去30年間、EUは幅広い分野で環境政策を実施してきました。こうした政策は、環境汚染は国境を越えて発生する現象であり、さまざまな分野に共通する環境問題に対処するためには、超国家的な規制が必要であるという考え方に基づいています。
EEA(欧州経済領域)協定には、環境分野における広範な協力が盛り込まれています。この協定の条項に従って、ノルウェーはEUがすでに決めた包括的な環境立法のほとんど全ての規定に従うことが義務付けられています。化学物質、大気、廃棄物、水質など広範な分野で、ヨーロッパ全土に適用される共通の規制が導入されています。EEA協定は、天然資源の管理や文化遺産の保存に関する問題は対象にしていません。
ノルウェーにとって、EEAの新たな財政のメカニズムは、環境分野でのEUとの協力における重要な側面です。過去5年にわたり、ノルウェーは主にEUへの新規加盟国10ヵ国に対して、毎年19億ノルウェークローネの財政支援をしてきました。この資金提供は、拡大EEA内の社会的・経済的格差を縮小することを目的とし、なかでも環境問題が重点分野のひとつです。
UNEP-国連環境計画
ノルウェーは地球規模の環境保護運動を強化する活動において、大きな役割を果たしています。環境問題における世界フォーラムとしてのUNEPの強化は、その対策のひとつです。
ノルウェーは次の4つの主要施策に集中して取り組んでいます。
• UNEPの科学的能力を高め、いくつかの分野にまたがる環境問題の影響に関する評価力を改善する。
• UNEPの能力開発活動を強化し、途上国への技術移転を促進する。
• UNEP常任代表委員会にユニバーサル・メンバーシップを導入することにより、UNEP管理理事会が決定する事項に対して加盟国が意見を述べる権限を強化する。
• UNEPの活動資金を増額する。
貿易と環境
環境以外の国際協定の締結にあたり、各国の環境対策との兼ね合いが課題になっています。こうした状況は、とりわけ、世界貿易機関(WTO)関連の貿易自由化交渉や、欧州自由貿易連合(EFTA)とそれ以外の国々の間の自由貿易協定交渉、またEU-EEA(欧州連合・欧州経済領域)の単一市場に関する取り組みにおいて顕著です。
環境アセスメントは、WTOにおいて現在行なわれている協議のあらゆる交渉分野で必要とされています。しかし同時に、貿易と環境の関係は別の交渉テーマとされています。ノルウェー政府の見解は、WTOの協定も多国間の環境に関する協定も国際社会のニーズを満たすために策定されるもので、同等に扱われる国際的枠組みとしてとらえられるべきであり、協定と協定の間に上下関係が存在してはならないとしています。また、環境政策に基づく施策を効果的に実施するためには柔軟性が求められますが、交渉ではそうした柔軟性をもたらす解決策を見いだすことが大切です。
開発協力に織り込む環境への配慮
ノルウェーが開発協力政策を進めていく上で主要な柱のひとつにしているのは、地球環境と生物多様性の健全な管理を促していくことです。
開発協力の諸対策は、相手国の環境を改善し、地球環境の悪化を防ぐことを目的とします。
ノルウェーの開発協力および途上国との協力における優先分野は次のとおりです。
• 持続可能な生産システム
• 生物多様性の保全と持続可能な利用
• 汚染の削減
• 文化遺産の保存
ノルウェー環境省は、インドネシア、南アフリカ、中国の関係当局とそれぞれ環境協定をすでに締結しています。
インドネシア
インドネシアは、世界で最も生物学的に多様性のある国のひとつであり、その広大な熱帯雨林は地球の気候にとって大きな役割を果たしています。しかし、同国の天然資源をめぐる状況は厳しさを増しつつあり、天然資源の管理対策をめぐって多くの課題があります。
この地域で協力を進める目的は、CBD(生物多様性保全条約)に明記された「生態系アプローチ」という取り組み方法を活用して、幅広い支持が得られる環境・天然資源の管理計画を策定することにあります。
南アフリカ
南アフリカとの環境協力は1996年に始まりました。環境政策に関する長期協力は、同国のこの地域における政策面での役割や、発展途上諸国における地位を考えると非常に重要です。協力は政治的対話と共同プロジェクトを通じて継続されています。2005年12月には第三次協力協定が締結され、その実施プログラムには年間約1000万ノルウェークローネが割当られます。主な協力内容は、南アフリカが環境保護面でその責務を果たせるように地球環境関連諸条約を実施するのを支援すること、同国がこれらの条約を一層充実させるために積極的な役割を果たせるように支援することです。その他の重要事項としては、ノルウェーと南アフリカの関係機関の間の協力の推進、地域協力の充実、NGOの参加促進などがあげられます。
今後数年間は、以下の分野に重点的に取り組む予定です。
• 環境汚染の削減
• 生物多様性の保護
• 環境部門におけるガバナンス(統治)の改善
中国
中国との環境協力は1995~96年に始まりました。二国間協力の目的としては、重要な環境政策課題について継続的に対話を行なうこと、中国が国際的な約束に従って環境保護を進めるのを支援することなどがあります。将来的には、気候変動、環境有害物質の拡散、生物多様性、水質汚染、大気汚染などの問題にも取り組んでいく予定です。具体的な協力事項としては、制度構築や能力開発を始め、Innovation Norwayをはじめとする組織と協力してノルウェーの環境保護技術を普及させることなどがあります。北京の大使館には新しく環境担当参事官というポストが設けられ、ノルウェーと中国の間の環境保全協力をフォローアップするとともに、環境開発面での協力も担当しています。