「スキーを履いて生まれてきた」という言いならわしがあるほど、ノルウェー人にとってスキーとの関係には長い歴史と伝統があります。
スキーで南極を目指した先達たち
スキーは、シベリアを始め北欧では先史時代から交通の手段として利用されてきました。やがてノルウェーでは単なる交通手段から人々のアイデンティティへと発展していきました。また、南極初到達を果たしたロアール・アムンセンや、女性で初めて南極単独横断を成し遂げたリヴ・アーネセンに代表される、ノルウェーが輩出した勇敢な冒険家たちも、スキーで荒涼とした南極大陸を進みました。
スキー発祥の地モルゲダールとソンドレ・ノールハイム
ソンドレ・ノールハイム(Sondre Norheim)は、現代スキーのパイオニアとして知られています。クロスカントリー、アルペン、ジャンプなどのスキースポーツ全てに秀でたノールハイムは、スキー板やビィンディング装備の技術革新を行ないました。ノールハイムがスキーを履いて雪に覆われた小屋の屋根からジャンプする様子を写した写真は、ノルウェー人であれば誰もが子どもの頃から目にしたことのある馴染み深い光景です。ノールハイムの出身地モルゲダール村は、スキーの故郷として知られています。1924年にフランスのシャモニーで開催された第一回冬季オリンピックの100年前にノールハイムが生まれています。ノルウェー人のスキーへの情熱は当時と変わることなく、現在も多くの優れたアスリートを送り出しています。
Ole Einar Bjørndalen . 写真: Norwegian Biathlon Association ビョルンダーレン・ヴァレー
12年前に初のオリンピック金メダルを獲得したバイアスロンのビョルンダーレンは、今年で通算4回目の出場となります。追随を許さないビョルンダーレンの目覚しい活躍に敬意を表し、バンクーバーのスキートレイルの一部は彼の名を取ってビョルンダーレン・ヴァレー(谷)と命名されています。
怪我からの復活
2006-2007年シーズンの世界選手権で無敵の活躍を見せたアルペンのスヴィンダールは、2007年にコロラドで行なわれた大会で転倒し、再起が危ぶまれましたが、この大怪我を克服し2008-2009年の世界選手権で見事に優勝。バンクーバーでオリンピック初出場の切符を手にしました。
フェアプレイにメープルシロップ
オリンピックは、厳しい競争やその結果もたらされる名誉や栄光にとどまらず、自然との共生やフェアプレイといった精神も重視される大会です。2006年のトロント大会で、このフェアプレイ精神に脚光が当たった出来事がありました。女子スプリント大会中、ストックが折れてしまったカナダ選手に、ノルウェーのクロスカントリーチームのリーダーBjørnar Håkensmoen(ビョルナル・ホーケンスモーエン)がすかさず新しいストックを渡した一幕です。この試合でカナダは銀メダルを獲得。 大会後、感激したカナダ市民から、感謝の意を記した手紙を添えた大量のメープルシロップがお礼の品として次々とノルウェーに送られました。
バンクーバーに向けて
世界中の精鋭がしのぎを削るオリンピックでは、ノルウェー選手にとっても表彰台を飾るのは至難の業です。スヴィンダール、ビョルンダーレンをはじめトップアスリートも厳しい練習に耐え、絶え間ない努力を惜しみません。
伝統と革新、そしてフェアプレイ精神が特徴のオリンピックでは、メダルの数はさておきベテランや新人の選手がその時に持ち得る実力を発揮する場です。全ての出場者の健闘が期待されます。