エネルギー・環境技術でノルウェーと日本の協力強化

Hywind - world's first full-scale floating wind turbine offshore. 
写真: Ynge Ask / Innovation Norway.Hywind - world's first full-scale floating wind turbine offshore. 写真: Ynge Ask / Innovation Norway

最終更新日: 06/01/2012 // 2011年11月7日・8日の両日、環境技術に関する国際会議「ノルディック・グリーン・ジャパン2011」が東京で開催され、多数の参加者を得ました。会議では、エネルギー・環境技術に関し、ノルウェー・日本間の協力について現状報告が行われるとともに、この分野で両国間の相互協力が今後大いに期待できることが確認されました。

ノルウェーと日本共通の関心分野における協力関係の強化

日本では、原子力から再生可能エネルギーへと、エネルギー供給のパラダイム・シフトが今後見込まれ、これによりノルウェーの技術プロバイダーやコンサルティング企業、研究機関には日本市場での提携の機会が活発化するでしょう。一方、日本側の再生可能エネルギー事業者や環境技術企業も、ノルウェーを新興北欧市場へ進出する魅力ある足がかりととらえています。その一例として挙げられるのが、ユーラス・エナジー社がノルウェーのホグ・ヤーレン(Høgjæren)ウインドパークに対して実施した1億ユーロの投資です。

現在、日本・ノルウェー間の協力は、再生可能エネルギー、材料技術、エネルギー・システム、エネルギー市場など、いくつかの分野を中心に進められています。

ノルウェーは、オフショア石油産業で培った40年の経験をもとに、大型浮体式構造物の設置と運用に関する技術力を蓄積してきました。そしてこの技術力は、世界唯一のフルスケール浮体式洋上風力発電プロジェクト、ハイウィンド(Hywind)の開発に結実されたのです。2年間の過酷な条件のもとで実施されたハイウィンドの実証実験から得られた大量のデータ及びが蓄積された経験は、福島沖で実施される予定の浮体式洋上風力発電プロジェクトに寄与することができるかもしれません。

ハイウィンドを所有するスタットオイル社(Statoil)や、ノルウェー有数の研究機関Sintef、認証とリスク・マネジメントの専門機関DNVなどノルウェーの企業や機関が、日本の研究機関やエンジニアリング企業との協力関係を積極的に進め、日本における洋上風力発電開発を推進しています。

ノルウェーの電力最大手スタットクラフト社(Statkraft)は、2009年に世界初の浸透膜発電所を建設し、塩分濃度差を利用した発電を実現させました。次は1~2メガワットの発電容量を持つ試験プラントを建設し、さらには2020年中に25メガワットの本格的な実証プラントを建設することも目指しています。

2011年6月、スタットクラフト社は、浸透膜発電用の膜の開発・供給に関して日東電工およびその100%子会社のハイドロノーティックス(Hydranautics)と合意を締結しました。浸透膜発電は再生可能エネルギーとしてベースロードを安定的に供給できるだけではなく日本の将来のエネルギー供給の一翼を担う可能性を秘めています。

ノルウェーには金属溶融精錬によるシリコン生産の長い歴史があります。たとえばエルケム社(Elkem)は、日本の多結晶シリコン産業に対して数十年にわたりシリコンを提供してきました。

近年では、太陽光発電のバリューチェーン全体を網羅するREC社が、各種の多結晶シリコンやウェハーを、そして新しくは太陽電池モジュールを、日本のパートナー企業各社と緊密な協力のもと日本市場に提供してきました。バリューチェーンの上流部門ではノルウェーが、下流部門では日本の世界的企業が確固たる地位を占めており、両国は相互に補完関係にあります。それゆえに、研究・産業の両分野で日本とノルウェーは重要なパートナーとなっています。

近年、日本周辺海域にメタンハイドレートが大量に存在することが明らかになっており、一部の推計では100年分の消費量に相当するとされています。二酸化炭素回収・貯留(CCS)と組み合わせたメタンハイドレートの採掘技術に関する研究は、日本とノルウェーの両国がともに関心を持っている分野です。

エネルギー輸送担体あるいはエネルギー貯蔵媒体として水素を利用することは、両国が協力できるもう一つの分野です。ノルウェーはハイノール(Hynor)と名付けた水素インフラを開発してきました。エネルギーの補給ステーションや自動車もこうしたインフラの一部であり、トヨタ、日産、マツダなど日本の自動車業界から大きな関心が寄せられています。

ノルウェーの研究機関と大学は、現在、九州大学カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所の水素研究部門と緊密な関係を築きつつあります。九州大学のこの研究所は、世界トップレベル研究拠点プログラムに採択された日本の6研究機関のひとつですが、ここでは、エネルギー輸送担体としての水素とCCSとの関係が非常に重要な研究課題となっています。

近い将来、日本では海運部門での環境保護規制の強化に直面し、また国際海運での環境保護規制も強化されるでしょう。これに対する対応策のひとつが重油燃料から液化天然ガス(LNG)燃料への転換です。

ノルウェーは現在、LNG燃料船とLNG燃料補給インフラにおける世界のリーダーであり、世界のLNG燃料船およそ30隻がノルウェー海域で運行しています。日本、ノルウェー両政府は、代替燃料としてのLNGを中心とした海洋環境技術協力の覚書を締結しています。


テキスト: Innovation Norway, Tokyo   |   ネットワークで共有   |   print