武正外務副大臣は挨拶のなかでノルウェーをはじめとする条約推進国やNGOが2007年のオスロ宣言で交渉プロセスが開始されて以来、主導的役割を担ってきたとその貢献を称えました。また、引き続き被害者支援を行なうと共に、アジア大洋州の未締結国に締結を働きかけてきたいと述べ、11月にラオスで開催される第1回締約国会合に向け条約普遍化の促進に取り組んでいくことを表明しました。
ウォルター大使は、「節目となる画期的出来事」と題しステートメントを発表しました。また、同条約締結における日本・ノルウェー両国の重要な協力に触れ、引き続き共に武器廃絶、クラスター弾による被害者支援に力を尽くすと述べました。
武正外務副大臣 |
ウォルター大使. 写真: Norwegian Embassy, Tokyo |
「クラスター弾に関する条約」促進・普遍化の集い(発効祝賀会)2010年3月26日 東京
「節目となる画期的出来事」(ステートメント)
アルネ・ウォルター
駐日ノルウェー王国大使
武正副大臣
ご来賓の皆様
ご来場の皆様
クラスター弾に関する条約を共に支持する皆様
はじめに、武正公一副大臣の開会の言葉に謝意を表すとともに、日本国外務省が、ひとつの画期的な出来事を祝う時宜を得た催しを計画されたことに感謝いたします。2008年12月にオスロで署名式が行われた「クラスター弾に関する条約」は、その批准書を寄託した国が先月で30ヵ国に達し、今年8月1日に発効する運びとなりました。これは、今年11月9日から12日まで、ラオス人民民主共和国のビエンチャンで開催される第1回締約国会議に向けての準備を進める上で、極めて大きな刺激となるものです。
本日の催しは、その主催者である日本およびすべての出席者の、クラスター弾の被害者を支援し、被害地域からその除去を図り、すべての使用に終止符を打つため、クラスター弾に関する条約を効果的な手段にしようという決意の気持ちを証明するものです。ノルウェーは、この取り組みにおいて皆様のパートナーであることを誇りとしています。
この機会をお借りして、この条約のいくつかの重要な側面に注目して見たいと思います。どのような意味で、この条約が強力なパートナーシップの結果であるのかという点を強調し、最後にその実施と今後進むべき道に焦点を当てたいと思います。
「オスロ・プロセス」が成功したのはなぜか?
「オスロ宣言」が46ヵ国の賛成によって3年ほど前に採択された時、私たちに付託された権限ははっきりしていました。それは、民間人に受け入れがたい損害を及ぼすクラスター弾を禁止する法的拘束力を持つ文書を2008年までに締結することでした。
「オスロ・プロセス」がクラスター弾の禁止に成功したのはなぜでしょうか?
私は、何よりもまず、そのプロセスが始めから終わりまで、現場の状況から得られた事実と現実に基づいていたからである、と信じています。そして、それらの事実は、運用状態におけるクラスター弾の非正確性と非信頼性を明確に示すものでした。事実によって、そうした弾薬がその使用時および使用後にもたらす受け入れがたい損害が示され、国際社会は対処を迫られることになりました。
クラスター弾の使用がもたらす人道上の影響―すなわち、被害地域における影響と被害者が体験した影響―が状況を評価する上で主要な基準になりました。これは重要なことでした。というのも、この評価基準により、誰が立証責任を負うかについての考え方に変化が生まれたからです。その結果、議論の場が設けられ、そこで使用者、生産者、および貯蔵者は、彼らの武器が受け入れ難い損害を与えるものではないことを実証することを求められました。
条約の成立につながったプロセスのもう一つの重要な側面についても強調しておきたいと思います。
この条約は強力なパートナーシップの結果である
成功のカギとなった要因のひとつは、関係諸国、市民社会、国連、および赤十字国際委員会が、いずれも正式な参加者としてこのプロセスに受け入れられ、パートナーシップを組んだことであり、このことは疑う余地がありません。
それぞれが果たした役割について少しお話しいたします。
関係諸国
極めて重要な要素になったのは、被害を受けた国と、クラスター弾を貯蔵する国を含む被害を受けなかった国との、効果的で地域を横断するパートナーシップでした。世界のすべての地域の国々が示したリーダーシップは、ダブリンで力強い結果を達成するのに不可欠でしたし、第1回締約国会議に向けての今後の重要な仕事にも引き続き不可欠です。
国連
国連がプロセスに積極的に参加し、最高レベルでの政治的支持から現場組織による最も重要な貢献まで、様々な貴重な貢献をしたことも決定的な重要性を持ちました。国連開発計画(UNDP)はクラスター弾問題に関する国連の活動を主導する機関として、特別な役割を果たし、現在もその役割を担っています。UNDPはまた、プロセスへの参加を望む国々の参加を効果的に手助けしました。
赤十字国際委員会
赤十字国際委員会は、国際人道法の強化を目指すあらゆる活動において、特別な役割を担っています。同委員会の存在は、事実上、世界のすべての紛争地帯に及んでおり、現場からの積み上げによる視点と、国際人道法の管理者、推進者、および開発者としての役割が結合して、独特の力を発揮しています。
クラスター弾連合
「地雷禁止国際キャンペーン」およびそのグローバルなネットワークを含む世界各地の数百に上る人道・人権組織からなる「クラスター弾連合」(CMC)は、これまでも、また現在もオスロ・プロセスの中心的なパートナーです。市民社会とCMCが取り組んだ重要なアドボカシー(政策唱道)活動に加えて、人道活動を展開するCMCの現場組織は、クラスター弾に関連するあらゆる側面で中身の濃い専門知識を提供しました。
この点について要約すれば、もしこのパートナーシップがなければ、プロセスも結果も別のものになっていたということになります。パートナーシップにより、私たちの成し遂げたことが、こうした武器により被害を受けた人びとやコミュニティにとって、真に効果のあるものとなりうるのです。
クラスター弾に関する条約の実施
オスロでの署名会議は、外交交渉の段階に終止符を打つものでしたが、それにも増して、条約の実施段階の幕開けを告げるものでした。しかし、それ自体は、クラスター弾のない世界を達成するという目標の始まりに過ぎませんでした。条約の実施には長い年月がかかり、私たちは全力かつ長期にわたる真剣な取り組みを求められるでしょう。
私たちは、条約が正式に発効するまで、その実施をただ待っているわけではありません。関係諸国、国連、赤十字国際委員会、そしてNGOは、被害地域のクラスター弾の除去、備蓄の破壊、被害者に対する援助を目指すプログラムにすでに取り組んでいます。こうした初期の実施プログラムは、様々な形の国際的な協力と援助に支えられています。
この条約が発効すると、そうした支援を求める権利と、提供する義務が、第6条によって促進されることになります。すべての締約国がその義務を遂行するためのすべての財政的負担を負う立場にあるわけではないため、第6条は、条約を全面的に実施するための極めて重要な手段となります。
「地雷禁止条約」を実施した経験から、国際的な協力と援助は単に財源の話だけではなく、どのように作業を体系化するか、各国当局、国際機関、人道組織がどの程度まで効率的に協力するかという問題でもある、ということを私たちは学びました。問題に取り組む強い政治的意思に支えられた、国の当事者能力が成功には不可欠です。
ノルウェーや日本など、そうした行動をする立場にある国は、この条約の下で、その実施に当たって援助を必要としている国を支援する義務を負っています。被害を受けた締約国に援助を行うことは、条約の普遍化に向けての取り組みにとって不可欠な貢献でもあります。普遍化とは、条約が機能することを実証し、私たちが共有する約束がどのように現場で行動に移されるかを実証することです。こうした努力は、他の被害国にこの条約に加盟し、大きな課題―この地域における特別な課題や、日本などこの地域で条約を批准した国が主導することを私たちが評価するもの―に真剣に取り組む勇気を与えます。
現時点では、条約の早期実施を実現するために、関連する正確な情報を得ることが不可欠です。このことは、第4条の除去義務だけでなく、条約の他の条項についても重要です。一例を挙げて見ましょう。条約第3条は、備蓄されているクラスター弾の安全な破壊だけでなく、それ以上のことと関係があります。この第3条こそが、使用禁止とともに、クラスター弾が将来再び使われることがないようにするための条項なのです。それは、この条約に盛り込まれた不拡散措置であり、それ自体、重要な信頼醸成措置なのです。この信頼醸成措置は、将来の締約国の間で重要になりますが、私たちの本来の支持基盤、すなわち、これらの武器の使用禁止を要求した市民社会と個々の市民にとっても、その重要性は変わりません。したがって、私たちは条約を批准したすべての国に対し、自らの備蓄に関する情報の共有をできるだけ早く進めるよう促します。ノルウェーとしては、第1回締約会議よりかなり早い時点で、私たちのすべての備蓄の破壊を終えることを目指しています。
しかし、これまでの結果、そして私たちが何を達成できたかに注目しながらも、私たちは今後進むべき道にも焦点を合わせなければなりません。
今後進むべき道
ノルウェーは、ラオス人民民主共和国が、第1回締約国会議を今年の11月9日から12日までビエンチャンで開催する準備を進めていることを歓迎し、支持しています。また、6月7日から9日まで、チリのサンチアゴで開かれるグローバル会合についても心から歓迎しています。この会合は、協力と援助の問題に重点を置くとともに、第1回締約国会議に向けての非公式準備を進める機会でもあります。
条約の発効は、形式的、法律的な観点から言えば、重要な節目です。その一方で、この条約が武力紛争における文民の保護に関する国際的な規範を補強するものであり、それが、国家がどのように戦争行為を遂行しているかを評価するための新たな基準になった理由を、私たちはすでに理解しています。
さらに、この条約はクラスター弾の被害地域からの除去、被害者に対する援助、および膨大な備蓄の破壊のための効果的な行動を進める枠組みにもなっています。それを機能させることにより、新たな人道危機が防止され、何千もの命と手足が救われ、乏しい資源を他の緊急ニーズや開発に使うことが可能になるでしょう。実際、地雷危機のような世界規模の問題が再び起こらないようにするための唯一の方法は、課せられた義務が全面的に順守されるよう努めることです。
オスロ・プロセスは、クラスター弾の使用により引き起こされた人道上の問題への対応として生まれたものです。したがって、私たちの活動が成功したかどうかを計る本当の基準は、クラスター弾に関する条約によって、被害を受けたコミュニティの現場で実際の効果が生じているかどうかです。そして、現場での実際の効果は、積極的で献身的なパートナーシップを通じて初めてもたらされるのです。
本日の祝賀の催しに触発され、積極的で献身的なパートナーシップの構築に努めようではありませんか。