公園で家族揃ってバーベキュー。使い捨ての簡易コンロを使う事が多い. 
写真: Riko Iriyama.公園で家族揃ってバーベキュー。使い捨ての簡易コンロを使う事が多い. 写真: Riko Iriyama

オスロ日記【1】「ノルウェーの食べ物って・・・」

最終更新日: 21/07/2010 // オスロ在住のファッション・ジャーナリスト、入山(いりやま)りこさんが、身近な話題と写真をお届けするシリーズです。第一回目は、ノルウェー人が普段食べているものについて。魚好きと思われがちなノルウェー人ですが、本当はこんなものが好きなのです。

国民的ピザ、グランディオーサピザ. 
写真: Riko Iriyama.国民的ピザ、グランディオーサピザ. 写真: Riko Iriyama

ノルウェーの食べ物って・・・
ノルウェーに住んでいるというと、じゃあお魚食べ放題?とよく聞かれます。私の主観からすれば、魚の種類と魚料理の豊富さや新鮮さは日本の方が格段に上を行くと思います、残念ながら…。ただ、確かにサーモンはとても一般的な食材で、スモークサーモンも特別なものというよりむしろ「サンドウィッチにのせるもの」的な印象があります。伝統的なノルウェー料理は?と聞かれたときに答える魚料理は、やはりオーブンで焼いたサーモンと茹でたポテトにホワイトソースやサーモンや白身魚、ムール貝をクリームで煮込んだフィッシュスープ、茹でた小エビの殻を剥きながらレモンとマヨネーズでパンに乗せて食べる軽食。変わりどころで醗酵させたマス「ラークフィスク」やクリスマスに食べるアルカリ水に浸けこんだ大変癖のある鱈料理「ルーテフィスク」などです。

とはいえ、伝統料理には肉料理も多く、トナカイやエルク(ヘラジカ)の料理のほか、季節によって秋にはキャベツと胡椒とラムを半日以上煮込んだシチュー「フォーリコール」、クリスマスにはスモークしたラムのバラ肉「ピンネヒョット」などが定番料理と言われています。こういった臭みの強い肉料理には、ブラウンソースをかけた上にクランベリージャムを添え、温野菜と共に食べるのが一般的です。
 
さて、上記のような伝統料理は様々な文献で紹介されているので切り上げるとして、今回私が紹介するのは「一般のノルウェー人が本当に食べているノルウェー料理」です。一般の、というのも幅が広い言い方なのですが、ノルウェー人自身が「これぞノルウェー料理」と冗談にしながら挙げる料理はというと…。以下はいわゆるジャンクフードなのですが、ノルウェー人の食卓に頻繁に出てきます。


グランディオーサピザ
1980年から続くノルウェーで最も食されている冷凍ピザで、もはやピザの代名詞、「国民的ピザ」となっている。基本的にはミンチ肉、チーズ、トマトソース、赤ピーマンというシンプルなピザで、グランディスとも呼ばれ若者を中心に好まれているが、食べている大半の人たちも決しておいしいから食べるのではなく、日本人におけるカップヌードルのように、時間とお金と手間と不健康さに対する欲望とノスタルジーを絶妙にコントロールするピザなのではないかと私は思う。

ポルセ
大人も子供も大好きなソーセージの総称。特に子供の誕生日会や街のお祭りなどで一般的なのは、熱湯で3分ほど温めたウインナーソーセージ(約20cm長)を10cmほどのホットドック用のパンに挟むか、ジャガイモの粉で作ったうすいパンケーキ、「ルンパ」に巻いて食べる。ケチャップと甘めのマスタードは必須、トッピングにポテトサラダや玉葱も。公園でバーベキューが頻繁に行われる夏には、長さ約15cmで直径が太めのグリルポルセも人気。こちらも食べ方はウインナーポルセと同じだ。

タコス 
不思議なのだが、いわゆるテックスメックス、メキシカンも定着している。市販のタコミックスをミンチに混ぜて、サルサソースとトルティーヤで食べるセットは、かなり濃い味でノルウエー人好みの様子。アボカドのグヮカモレディップとサワークリーム(ロンメ)も必須アイテム。

以上のようなジャンクフードを好むノルウェー人ですが、彼らが逆に不健康と嫌うもの、それは「真っ白のパン」です。

胚芽のたっぷり入ったパンは大変美味しい. 
写真: Riko Iriyama.胚芽のたっぷり入ったパンは大変美味しい. 写真: Riko Iriyama

気候上の理由からビタミンが摂取できる生野菜が食卓に並ぶ事が少なく、昔からの習慣で、「ロフ」と呼ばれる普通の白い食パンは不健康という印象が強いのです。ビタミンを補うためにも主食のパンにはたっぷりと胚芽や種、豆類が入った茶色いグローヴブレッドが人々の健康を維持すると強く信じられていて、パンは茶色ければ茶色いほどいい、のだそうです。

パンには、ハム、チーズ、パテなど「ポーレッグ」と総称される具がつきもの。ご飯にお漬け物やふりかけ、と言った感覚ですが、このポーレッグも種類が豊富で、ノルウェー人的食生活を構成しています。

普通のポーレッグ
様々な形状のサラミやハムとチーズ。スライサーで一枚ずつスライスして食べるチーズは「グルオスト」と言われる普通のチーズのほか、少し固めのヤールスバーグなども人気。マヨネーズをバター代わりに使う人も多い。これに赤ピーマンやキュウリのスライスを乗せることもある。

チューブ状ポーレッグ
歯磨き粉のようなチューブに入ったポーレッグの代表は、「カヴィアー」。魚の卵が練り物状になった塩辛いポーレッグで、ゆで卵のスライスやチーズと一緒に食べることもある。ほかに、ベーコンオストというベーコンとチーズが練り物になったものなど。

缶入りポーレッグ
「レヴァポステイ」(レバーパテ)と「トマトマクレル」(サバのトマト煮)は、昔から変わらない缶と味でノルウェー人が子供の頃から親しんでいる味。パンに手早く塗るだけ、と最も短時間で用意できるお弁当のネタだけに、一般家庭には必ず買い置きがある。

甘いポーレッグ
デザート感覚で食べるポーレッグの代表格は、ヤギ乳入りのまったりとして若干癖のあるブラウンチーズにベリージャムのコンビ。ジャムもノルウェー人はたっぷりと塗る。「ヌガッティ」(塗るチョコレート)やバナナジャムなども昔からの定番。

最後にデザート編。ノルウェー人はアイスクリームに目がありません。パーティシーンでもケーキが各種並びますが、最終的にアイスクリームも振るまわれ、しかも半分溶けた状態が食べごろというのも多少びっくりです。クリスマスにはお米のミルク粥を凍らせた「リースクレム」も食べます。ジャムとロンメを添えて食べるワッフルも一般的で、一家に一台はワッフル焼き器があるにも関わらず、ワッフルが出ると列をなして忍耐強く焼き上がるのを待ちます。

ワッフルは老若男女問わず人気. 
写真: Riko Iriyama.ワッフルは老若男女問わず人気. 写真: Riko Iriyama

カートン入りのプリン、「ピアノ」. 
写真: Riko Iriyama.カートン入りのプリン、「ピアノ」. 写真: Riko Iriyama

私が個人的に驚いたノルウエーの一般的かつ伝統的デザートは「ピアノ」。ロングライフの1L牛乳パックのようなカートンに入った固めのプリンで、チョコレート味やカスタード味などがあります。これをスプーンで好きなだけ掻き出し、甘いカスタードソースをかけて食べる見かけも味も大胆なデザートですが、不思議な食感で年に数回食べたくなる懐かしい味だそうです。

日本人が寿司ばかり食べているわけではないように、ノルウエー人もサーモンばかりではありません。今回挙げたものはかなりジャンクフード率が高くなってしまいましたが、ノルウェーの食文化をある程度表しているとも言えます。チャンスがあればぜひとも試してみてください。

 

テキスト・写真:入山りこ(オスロ在住 ファッション・ジャーナリスト)


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