雪と光のロフォーテン【2】海上のアルプス登頂

最終更新日: 29/03/2010 // ロフォーテンは海の上のアルプスと表されることがあります。私が住む長野の高原からも晴れた日には北アルプスの山並みが屏風のように見えるのですが、それが海の上に浮かんでいるようなものです。今回の旅の目的はこれら「海の上のアルプス」にスキーで登って滑ることです。(テキスト・写真 望月隆)

ロフォーテンはその風景から、山を滑ったら格別だろうと以前から思っていました。何よりも雪に覆われた山頂から見る景色にあこがれていました。

いよいよスキーツアーの初日、宿のオーナーに話しを聞きながらガイドブックと地図を照らし合わせて行き先を決めます。まずはやさしいスモーティン(Småtin標高700m)をターゲットにしました。スモーティンは宿があるスヴォルヴァール(Svolvær)の隣町カベルボーグ(Kabelvag )からすぐの比較的なだらかな山です。二つの耳のようなピーク(双耳峰)が特徴の山ですが、よく似た地形の山が多いこともあり、遠くから見るとどれがスモーティンかわからない時があります。

スモーティンで出会った地元出身のスキーヤー。 手に持つのはノルウェー人にはお馴染みのチョコレートスナック。スキーやハイキングに欠かせないアイテムだ. 
写真: T. Mochizuki.スモーティンで出会った地元出身のスキーヤー。 手に持つのはノルウェー人にはお馴染みのチョコレートスナック。スキーやハイキングに欠かせないアイテムだ. 写真: T. Mochizuki

初めての山に一人で登るのは少々危険でもあるのですが、そんな心細さを吹き飛ばしてくれるようなすばらしいノルウェー人に登っている途中で出会いました。彼は急な登りを驚くようなスピードで登ってきました。私が話しかけると、日本人が珍しいのか色々と答えてくれて最後に一緒に登ろうというではありませんか。即席の現地ガイドになってくれたわけです。道中話しがはずみ、彼がカベルボーグ生まれで医師の卵であることや、使っている道具が古いのは訳があるなど、大変楽しく登ることができました。そして山頂からの眺めは素晴らしいの一言。船の上から見た景色とはまったく違う広がりを持った眺めが地平線までつづいていました。そして軽快に二人で山を滑りおり、彼の行きつけのカフェで楽しい時間を過ごしました。ノルウェー人はいい人が多いという印象を強くしました。

標高803mのルンティン(Rundtin). 
写真: T. Mochizuki.標高803mのルンティン(Rundtin). 写真: T. Mochizuki

次なる山はルンティン(Rundtin標高803m)の山。1日目は登りの途中で吹雪にあい途中敗退しました。朝は天気も良かったのですが天候が急変しました。帰りは前が見えなくなるほどの吹雪です。やはり海からの湿った気流のために変りやすい天候がここロフォーテンの特徴です。それも一度天気がくずれるととても荒れてしまうのです。

翌日に再度トライしてみました。登り始めは雪が舞っていたものの、次第に晴れ間がのぞいてきました。先行するスキーの跡が二人分あります。遠くから人影は見えるもののかなり距離がありました。また登るスピードが速くとても追いつけるとは思えません。しかし山頂直下で上から滑ってくる二人組をみてびっくり。二人とも女性だったのです。私はあのスピードで登るのだからと、勝手に男性二人組と思い込んでいたのでした。彼女達の写真を撮ったり少し話しをして別れたのですが、彼女達は雪の斜面をかなりのスピードで滑走していきました。さすがノルウェーの女性です。彼女達と別れてわずかな登りをこなすと山頂です。

Rundtinを一気に滑り降りていった女性スキーヤー. 
写真: T. Mochizuki.Rundtinを一気に滑り降りていった女性スキーヤー. 写真: T. Mochizuki


ここからの眺めは、言葉で表せないほど素晴らしいものでした。この時は前々日のスモーティンと違い。空全体が青く晴れ渡り海は群青色と金色に光り輝き遠くがよく見えました。

ただ大西洋がある西の方を見ると黒い雲がみえます。これはこの後天気が悪くなるという兆候です。山頂でまわりの景色を撮影したあとはすぐに滑走開始です。一人ですから途中に休みを入れず一気に麓まで滑り降りました。前述の女性スキーヤー達の跡を追うように歩き続け、道路に出た時には再び雪が降りだしてきました。やはりロフォーテンの天気は変りやすいです。車に戻った時は嵐になっていました。

Rundtin山頂からの見事な風景. 
写真: T. Mochizuki.Rundtin山頂からの見事な風景. 写真: T. Mochizuki

次回は、ロフォーテンの自然を中心にご紹介しましょう。

 



テキスト/写真:望月隆(もちづき たかし)
テレマークスキーヤー。1997年ノルウェーでノルウェースキースクール(Den Norske Skiskole)のテレマークスキーインストラクターの資格を取得。現在は長野県峰の原高原でT.M.N.スキースールを主宰しテレマークスキーの指導にあたる。著書(共著)に「日本テレマークスキー教程」「テレマークスキーレッスン」ほか。


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