写真: Takeshi Okamoto.写真: Takeshi Okamoto

リンゲリーケ博物館 その2

最終更新日: 04.02.2013 // 第2回は民話の収集で知られるアスビョルンセン&モーにまつわる話です。



【リンゲリーケ博物館  その2 】岡本健志(テキスト・写真)

イェルゲン・エンゲルブレクツェン・モーとクリスチャン・アスビョルンセンの出会い

ノルウェーで最初に地方に伝わる民話を採集したのはドランメンなどで牧師を務めたアンドレアス・ファイエ (Andreas Faye) でしたが、民俗的、文学的、言語学的な観点から多大な功績があったと今日高く評価されているのはイェルゲン・エンゲブリクツェン・モー (Jørgen Engelbrektsen Moe) とペーテル・クリステン・アスビョルンセン (Peter Kristen Asbjørnsen)です。

ノルウェーでは地方出身者も高等教育機関に進学できるようにと、学識者による予備校的な機関が地方に認められるようになりました。この頃ノーデルホーヴ教会の牧師を務めていたクリストフェル・ステーレン Christopher Stølen) とその家族もこれに賛同し、牧師館を利用して寄宿学校を開きました。

モーは、リンゲリーケ博物館から2~3km程度離れた農家で生まれました。その農場は現在も (直系ではありませんが) 彼の親族の子孫によって受け継がれています。アスビョルンセンは、クリスチャニアのガラス職人の息子として生まれ、カテドラルスクール(教会の学校)に半年ほど通いましたが、学校での古典的な教育にはなじむことができず、加えて、かなりのやんちゃだったため、父親がオスロから少し離れたノーデルホーヴの寄宿学校を選び、少しの間でしたが、彼に寄宿生活をさせることにしました。このようにして、二人は1826年にノーデルホーヴで出会いました。アスビョルンセンは途中で再びクリスチャニアのカテドラルスクールに復学することになりましたが、最初から意気投合していた二人は頻繁に文通し、民話の採集という夢に向かって邁進しました。(ここではその後の活動を詳しく解説しませんが、)1841~1844年に『ノルウェー民話集』(Norske Folkeeventyr) が刊行されました。その後、モーは妻との安定した生活のために牧師になり、アスビョルンセンはその後も長く『子供のための民話集I』(Eventyrbog for Børn) をはじめとする多くの著作を残しました。

ノーデルホーヴ博物館には、モーとアスビョルンセンの遺品が数多く残されています。これはモーが結婚生活で使用していた机や椅子、調度品をモーの娘であるマリーエ (Marie) が相続し、博物館に寄贈したものです。博物館内の別の部屋には自筆の書簡なども展示されています。モーには5人の子供がいましたが、孫に恵まれることはありませんでした。息子の一人モルトケは、父の残した民話を研究し、オスロ大学の教授になりました。アスビョルンセンは生涯独身を通しました。博物館には彼の旅行かばん、銃などが展示されていますが、恐らくそのかばんに採集した民話を記した原稿をいれていたと考えられています。これらの遺品は、アスビョルンセンが死の直前にモーの娘マリーエに託した物です。

モーの墓はオスロ市内のヴェストレ・アーケル (Vestre Aker kirkegård) 墓地に、アスビョルンセンの墓も同市内の救世主墓地 (Vår Frelsers gravlund) にそれぞれあります。博物館の前のノーデルホーヴ教会内の墓地には、民話の採集に協力し、いくつかの民話、例えば「ヴィッテンランの3人のお姫様」(Tre prinsesser i Hvittenland) を彼らに聞かせたエンゲルブレクト・クリスチャンセン・アシェム (Engelbrekt Christiansen Askjem) の墓もあります。二人に民話を伝えた一部の人々の名前は知られていますが、墓の所在まで確認されているのは彼だけです。

アスビョルンセンの旅行かばん. 
写真: Takeshi Okamoto.アスビョルンセンの旅行かばん. 写真: Takeshi Okamoto
モーの直筆の書簡. 
写真: Takeshi Okamoto.モーの直筆の書簡. 写真: Takeshi Okamoto
モーが家族と共に使用していた家具. 
写真: Takeshi Okamoto.モーが家族と共に使用していた家具. 写真: Takeshi Okamoto
民話の語り部を務めたアシェムの墓. 
写真: Takeshi Okamoto.民話の語り部を務めたアシェムの墓. 写真: Takeshi Okamoto
オスロ市内にあるモーの墓. 
写真: Takeshi Okamoto.オスロ市内にあるモーの墓. 写真: Takeshi Okamoto
 

リンゲリーケ博物館リンク 
>> http://www.ringerikes.museum.no/ (ノルウェー語のみ)
*博物館は夏季のみ開館しています。開館時間はホームへ―ジでご確認ください。

(終わり)



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