今年10月に訪日したブルゲ・ブレンデ外相と岸田外務大臣. 
写真: Norwegian Embassy, Tokyo.今年10月に訪日したブルゲ・ブレンデ外相と岸田外務大臣. 写真: Norwegian Embassy, Tokyo

ノルウェー:信頼できるアジアのパートナー

ブルゲ・ブレンデ外務大臣は今年多くのアジア諸国を訪問し、10月には日本を訪れ岸田外務大臣と会見を行いました。ノルウェーが連携を強化する日本はじめアジアとの関わりについてブレンデ外相が見解を述べました。

アジアにおける緊密な地域協力の動きを支持するノルウェー
過去約30年の間、グローバル経済の重心はアジアに向けて移動しています。この経済的転換に伴い、アジアではいま地域内での協力が深まっています。ノルウェーはこうした進展を支持しており、この数年アジアとの関係強化を積極的に図ってきました。ここで、その主な理由について簡単に述べるとともに、今後の協力で最も可能性が大きいと私たちが見ている分野について説明したいと思います。

ノルウェーはこれまで、アジアで政治・経済協力を行う上で最も重要ないくつかの活動の場に加わる努力をしてきました。2012年、私たちはアジア・欧州間の主要な政治対話の場であるアジア欧州会合(ASEM)のメンバーとして認められました。ASEMは私たちがアジアや欧州のパートナーと政治討論を行うための貴重で効果的な場です。また2015年にノルウェーは東南アジア諸国連合(ASEAN)の分野別対話国の地位を得ました。これは地域外の中規模経済国としては初めてのことです。

私たちがアジアとの連携を図る主な理由の一つは、貿易と投資の強化です。アジアは現在、世界全体の国内総生産(GDP)の30%を占めており、アジア開発銀行の推定によれば、2050年までに50%を超すと見られています。インドや中国では、成長に伴って何億もの人々が貧困から抜け出しています。さらに、自由貿易が圧力にさらされている中で、アジアでは多くの国が互いに貿易障壁の除去に向けて賞賛に値する措置を講じつつあります。

ノルウェーは自由貿易を強く支持しており、2017年にブエノスアイレスで開かれる世界貿易機関(WTO)の閣僚会議に備え、WTOの自由貿易に関する討議を前進させるため、最近オスロに20ヵ国以上を集めて会合を開きました。ノルウェーの対アジア貿易は深化するとともに拡大しています。中国、日本、韓国、シンガポールなどが主要な貿易相手国です。そして私たちはアジアとの貿易をさらに増やしたいと考えています。ノルウェーは、欧州自由貿易連合の一員として、アジアの多くの国と自由貿易協定を結ぶ交渉を進めることに重点を置いています。

ノルウェーのアジアとの経済的なつながりは数世紀前にさかのぼります。中国とインドが世界全体のGDPのほぼ50%を占め、東京が人口数百万の都市だった1850年代、ノルウェーは世界最大の商船隊を持っていました。ノルウェー船は何千人ものノルウェー人船員とともに150年前、アジア諸国の経済発展に重要な役割を果たしたのです。

海事セクターのノルウェー企業は現在も、日本を含む多くのアジア諸国で引き続き極めて重要な役割を果たしています。同時に、漁業、水力発電、石油・ガス分野においても重要な投資が行われています。アジアでは合わせて約500のノルウェー企業が設立され、アジア地域に対する海外直接投資を増加させています。ノルウェーの公共部門もアジアに投資しています。「ノルウェー政府年金基金-グローバル」は、海外投資が9000億米ドル近くに達する世界有数の政府系ファンドで、その株式投資の20%以上をアジアで行っています。日本だけでも投資額は約750億米ドルになります。アジアで地域統合がさらに進むことへの強い関心のしるしとして、ノルウェーは今年、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立メンバーとなり、5億5000万米ドルを出資しました。つい最近開設されたノルウェーの在外公館の所在地がアジアのムンバイとヤンゴンであることは偶然ではありません。

アジアとの協力でもう一つの重要な分野は「2030アジェンダ」と「持続可能な開発目標」です。私たちは教育、健康、気候変動といったグローバルな課題の解決に向けて共通の関心によって結ばれています。ノルウェーはREDD+(レッドプラス:途上国における森林の減少・劣化に由来する温室効果ガスの排出削減を図る活動など)を通じて、インドネシアに対し森林減少の抑制を図るための広範な協力を行っており、こうした取り組みに10億米ドルの拠出を約束しています。

そのほかに私たちが貢献できる分野として海事セクターと漁業があります。これらの分野で世界をリードするノルウェー企業はすでにアジアに投資しています。私たちとしては、ノルウェー政府の豊富な経験を生かし、アジア地域での海運グリーン化、持続可能な漁業や養殖を促進したいと思っています。将来の世代のために健全で豊かな海洋を確保することはノルウェーの外交政策の主要優先事項であり、アジア地域を含めてこの課題の前進を図るための新たな政府戦略作りに取り組んでいるところです。

私たちが対アジア協力で関心を抱いている三番目の大きな分野は、平和と安定、国際法、人権の推進です。ノルウェーはこれまで多くのアジア諸国で平和プロセスの調整役を務めてきました。現在は正式交渉が行われているフィリピンに特に重点を置いています。私たちは確固とした人権擁護者です。今年は第6回死刑廃止世界会議を主催し、80ヵ国以上の代表が出席しました。

グローバルな変化は、経済発展の観点からも世界政治の構造的転換や気候変動の影響の深刻化といった面でも、アジアに多大な影響を及ぼしています。私たちは同じ国際社会の一部であり、すべての人がこうした事態の展開によって影響を受けています。

ノルウェーは、日本はじめアジア諸国と直接あるいは地域協力活動の場を通じてアジアにおける持続可能な解決策と安定した発展を追求する取り組みを進める用意ができています。


Bookmark and Share